研究内容

(1)鋼線の引抜きモデルの欠陥挙動の解析

(2)電解液中のLi⁺拡散・分子配位の現象および電気伝導評価

(3)シリコン系硬脆材料(SiC)の塑性変形能・強度評価

(4)階層的ねじれ構造(セルロース)における力学伝達の解明

(5)固体材料のマルチスケールモデリングおよび解析:分子動力学法とマクロ粒子法(ペリダイナミクス)の連携

(6)ナノトライボロジーと塑性変形:ナノサイズテクスチャの摩擦への影響

(7)固体材料の動力学的挙動に関するコンピュータシミュレーションの方法論

(8)力学機能に基づく構造普遍性の探求:分子からテンセグリティ概念への展開

(3)シリコン系硬脆材料(SiC)の塑性変形能・強度評価

近代の科学技術の急激な進歩により、エネルギー問題の枯渇が懸念されている。こうした問題により、より少ないエネルギーで大きな経済的、社会的効果を得ようとする省エネルギー化の必要性が高まっている。省エネを推進するにあたって、重要な役割を得ようとするのが、パワーエレクトロニクスである。パワーエレクトロニクスとは、パワー半導体を用い電圧や電流、周波数、電力変換を自在に制御する技術であり産業機器や自動車など幅広い分野で使用される。パワーエレクトロニクスの性能限界は、半導体の性能によって決まるといわれている。パワー半導体の主流であるシリコン(Si)に対してこれまで多くの研究がおこなわれてきたが、これ以上の性能は見込めないといわれている。そこでSiよりも優れた物性値を持つ炭化ケイ素(SiC)に大きな期待が寄せられている。


 SiCはSiと炭素(C)からなる化合物半導体である。SiCはSi-Cを基本単位としており、異なる結晶構造(ポリタイプ)を持つ。SiCのポリタイプでは、SiとCの結合や配位は変わらないが、温度により温度の積層構造の発生確率は異なる。その中で発生確率が高くパワー半導体の材料として注目されているものに3C-SiC、4H-SiC、6H-SiCがある。中でも、原子シミュレーションが容易な3C-SiCを用いて、欠陥の生成過程や条件をナノインデンテーションを用いて解析を行う。