研究内容

(1)鋼線の引抜きモデルの欠陥挙動の解析

(2)電解液中のLi⁺拡散・分子配位の現象および電気伝導評価

(3)シリコン系硬脆材料(SiC)の塑性変形能・強度評価

(4)階層的ねじれ構造(セルロース)における力学伝達の解明

(5)固体材料のマルチスケールモデリングおよび解析:分子動力学法とマクロ粒子法(ペリダイナミクス)の連携

(6)ナノトライボロジーと塑性変形:ナノサイズテクスチャの摩擦への影響

(7)固体材料の動力学的挙動に関するコンピュータシミュレーションの方法論

(8)力学機能に基づく構造普遍性の探求:分子からテンセグリティ概念への展開

(2)電解液中のLi⁺拡散・分子配位の現象および電気伝導評価

 化学電池の中でも,充放電が繰り返しできる電池を“二次電池”と呼ぶ.現在,二次電池の市場は鉛蓄電池・ニッケル水素電池・リチウムイオン電池が主流となっている.しかし近年では機器の小型化や軽量化に伴い,リチウムイオン電池(LIB)の需要が急速に拡大している.二次電池市場は携帯電話・スマートフォン・ノートパソコンなどのモバイル端末やハイブリッド自動車の普及により,小型・軽量で大容量,急速充電が可能な電池が求められている.これらの要求を満たすことのできる二次電池がリチウムイオン電池である.

 リチウムイオン電池は他の二次電池に比べてエネルギー密度が高く,小型・軽量化に適しており,さらに重量に対する出力が非常に大きいという特徴を有する.しかし,大容量・高出力である反面,発火事故など安全面での問題を抱えており,リチウムイオン電池のさらなる高性能化を図るとともに,安全面の問題の解決方法が現在模索されています.

最近の研究では電解液中でのリチウムイオンの挙動が重要視されており,特にリチウムイオンの挙動は電池の性能に直結するため非常に重要です.本研究室では分子動力学(MD)法を用いて,電解液中でのリチウムイオンの微視的な挙動や溶媒和構造の解析,さらに新規電解液の開発に向けた新化合物の粘度やイオン伝導度などの物性予測・評価を行うことを目指しています.