研究内容

研究内容リストに戻る

鋼線の引抜きモデルの欠陥挙動の解析

近年、大気汚染や資源の枯渇など地球環境問題に対する関心が高まっており、地球環境問題を契機に環境負荷物質の削減や燃費の向上などが大きな課題になっている。これに対応するために鋼線や線材においても高機能化、高強度化、工程省略等が強く求められている。近年は技術の進歩により、鋼線のダウンサイズ化が活発になっており医療分野においてのニーズも増えてきている。こうした現状において線材の高強度化や軽量化につながる伸線加工が注目されている。

 塑性加工の一種である伸線加工は、被加工材を円錐状のダイスに通し、ダイス出口の断面形状と同じ断面を持つ棒や線に仕上げる加工法である。伸線加工の長所としては、細長く伸ばすと同時に、引張方向の強度を向上させることができるため、タイヤのスチールコードやピアノ線、橋梁のケーブルなど幅広い分野で使用されている。材料の機械的特性は微視的組織が大きく関与していると言われており、材料の原子レベルでの解析は不可欠である。私たちは、実験的な解析で見ることのできない現象をシミュレーションし高強度化へのメカニズムの解明に取り組んでいる。

 鋼線の高強度化として、細粒強化、固溶強化、転位強化が挙げられるが、転位が材料の高強度化の多くを占める要因となっている。私たちは、転位の挙動を解明し、高強度化へ向けて取り組んでいる。